千葉県東総文化会館

トピックス

千葉県東総文化会館からのお知らせ

森麻季からのメッセージ

【近況について】
 今年は4月にワシントンでリサイタルをいたしました。 日本からワシントンへ桜が贈られて(桜植樹)100年を記念して行われた公演でしたが、ワシントンとは深い関わりがあります。
 (少し長くなりますが・・・)10年前にアメリカでおこったテロ同時多発事故に、 ワシントン・ナショナル・オペラに出演するために私はちょうど現地におりました。 そのとき、町は厳戒態勢となり、手が届きそうなところに軍の飛行機が飛び交い、 物々しい武装をした人たちが街を包囲し、人々が街から逃げ出すために大渋滞となり、 街行く人はパニックとなり・・・、戦争はこんなふうにして始まるのかと思うほどでした。 テロを警戒するため「人の集まるところに行かないように」とニュースでも繰り返し放送されていました。 しかし、驚くべきは、テロに屈しないという姿勢から、すぐに経済は動き出し、学校や会社も開かれ、 オペラも次の日から再開されたことです。劇場が、ホワイトハウスのほど近く、 襲撃されたペンタゴンの隣の駅にあるにもかかわらず、公演は通常とおり行なわれ、その当日は、 ほぼ満員となった観客がスタンディングとなり、舞台の私たちに「ありがとう、芸術が平和を呼ぶように!」 と拍手とともに大きな勇気を送ってくださいました。 テロ直後の公演こそ、私にとって音楽の力が人の心を一つにする瞬間を目の当たりにした貴重な経験となりました。 更に、街ゆく人が「God bless you」と言って見知らぬ私にまで声をかけてくださり、 みんなが積極的に心を一つにしている様子は、感動する程でした。 音楽が持つ懐の深さと、愛のような 大きな力を、私はこのときに身をもって感じることができ、 その経験こそが、私の人生を、音楽の道へと強く導いていったように思います。

 そして、昨年3月11日に起こった東日本大震災は、日本中、また世界の多くの方にとっても忘れられない 大きな出来事となりました。 特に、地震直後の津波がすべてを覆い尽くしていく映像、大火災、がれきの山となった被災地の様子が 目に焼き付いて離れません。 このときにも、尊い命、幸せな日常が一瞬にして奪い去られるという悲しい現実に、命の大切さと、 平穏に暮らせることの有り難みを深く考えさせられました。
 「平和とは何だろう」「音楽の力とは何だろう」ということを常に心に問いかけています。 そして、東京でも昨年から「平和を祈るコンサート」と題し、企画コンサートをスタートさせました。 今年8月には、長崎と広島で「世界平和への祈り」コンサートに出演し、 モーツァルトのレクイエムを演奏いたしました。 世界平和を祈念し、広島・長崎で原爆忌当日に「世界平和への祈り/特別演奏会」として開催された 公演に参加させていただいたことも幸いでしたが、広島でも長崎でも、音楽の力によって、 演奏者と聴衆の祈りがひとつになり、思わず涙がこみあげてきてしまうほどの感動を覚えました。

 そして、先日は、NHKのスタジオでNHK東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」の収録をしてきました。 「花は咲く」はご存知の方も多いと思いますが、心に静かに響いてくる作品で、すぐに好きになりました。 今回はアカペラで歌わせていただいています。9月の半ばからNHKテレビで流れるそうですので、 楽しみにしていてください。(とても短い尺ですので、どこで流れるかはわからないそうです。) 著作権料は義援金になるそうです。

 音楽は人の心を結び、心をひとつにします。一人一人の力は小さくとも、思いを共有すれば、 それは必ず夢や希望へつながると信じて、皆さんに幸せな時間を過ごしていただけるように、 音楽に思いを馳せて心をこめて演奏したいと思っています。

【聴きどころ】
 ドビュッシー生誕150年に因んで、今回のプログラムの後半にはドビュッシーの歌曲を演奏します。 歌曲は特に詩がとても素敵なので工夫をこらしたいと思い、詩の朗読とともに演奏することにいたしました。 作品の魅力をより身近に感じていただきたいという思いから各地ではじめたのですが、 内容がわかると音楽がしみじみと伝わってくると皆さんから好評をいただいています。 必ずしも頻繁に演奏される作品ではありませんが、歌うほどに好きになります。 私自身、楽しみに歌わせていただきますので、皆様にも、気に入っていただけたら嬉しいです。

森麻季 オフィシャル・ウェブサイト  http://www.makimori.com/
森麻紀 オフィシャル・ブログ      http://www.makimori.com/blog/